動物の病気 最新情報

2012年7月 8日 日曜日

犬の乳腺腫瘍の臨床病理学的検索 : 小型犬と他犬種の違い

小型犬の乳腺腫瘍は中型や大型犬に比べると癌の可能性が低いかもしれない
という報告です。


伊東 輝夫(八仙会動物医療研究部)
内田 和幸(宮崎大学農学部獣医学科家畜病理学教室)
 
The journal of veterinary medical science 67(3), 345-347, 2005-03-25

犬乳腺腫瘍101例の臨床病理学的特徴を回顧的に評価した。小型犬60例と他41例の組織学的悪性の頻度はそれぞれ25%と58.5%であった。上皮系腫瘍81例では, 小型犬で小さな(<3cm)非浸潤腫瘍が多く, 多変量解析で小型犬(p=0.048)と腫瘍浸潤度の低さ(p=0.006)が長い生存期間と関連した。以上から, 乳腺腫瘍の組織学的, 生物学的な悪性の発生頻度は, 小型犬では他犬種よりも低いことが示唆された。
乳腺腫瘍は雌イヌにおいて高頻度に発生する腫瘍のひとつである。本研究では, 腫瘍マーカーとしての有用性を検討するためにイヌ乳腺腫瘍材料におけるc-kit遺伝子の発現を調べた。4種の哺乳動物のc-kit cDNAの塩基配列を参考にRT-PCR法のためのプライマーセットを合成し, イヌc-kit遺伝子を増幅した.正常イヌ脾臓の全RNAからのRT-PCR法により増幅したイヌc-kit遺伝子の大きさは756bpであり, 哺乳動物のcDNAの該当部分と高い相同性を示した。11例のイヌ乳腺腫瘍(腺癌, 良性混合腫および悪性混合腫)すべてにおいてc-kit mRNAの発現が検出された。イヌ乳腺腫瘍のうち, 腺癌におけるc-kit遺伝子の発現は, 悪性混合腫瘍に比べて有意に高かった.さらに, 15例の乳腺腫瘍以外の各種イヌ腫瘍組織標本におけるc-kitの発現も同様に検討した。肥満細胞腫の全例において, 高いmRNAの発現が認められたが, 残りの12例の腫瘍では, 5例で低レベルのRT-PCR産物が検出されたのをのぞいて, c-kit遺伝子の明らかな発現は見られなかった。以上の結果より, イヌ乳腺腫瘍では, c-kit遺伝子mRNAの発現が有意に高く, その診断上有用であると思われる。




投稿者 ひがしやま動物病院

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