動物の病気 最新情報

2012年5月 8日 火曜日

犬の前立腺癌

前立腺癌

 ワンちゃんも人間と同じく前立腺のがんが発生することがあります。前立腺肥大や前立腺のう胞と診断され、一般的な治療を受けても血尿がつづく場合は注意が必要です。以下診断と治療の報告を調べてみました。

去勢した高齢の尿路疾患に対しては腫瘍を考慮するべきである。
腰部の痛みと後肢の跛行。腰椎への転移や直腸壁への浸潤

二次感染により消耗性膿瘍

前立腺癌のエコー像は約50%で左右不対象(Bell FW JAVMA 1991) 

転移 80%で起こる。腸骨下リンパ節、肺、骨転移、腹部癌腫症

前立腺の腫瘍の石灰化が40%で見られる(Bell FW JAVMA 1991) 

逆行性尿道膀胱造影で尿道前立腺部のゆがみが見らる事があり、腫瘍の指標として信頼性が高い(Bell FW JAVMA 1991) 

90%近い腫瘍でCOX-2が発現
ピロキシカム、カルプロフェンで治療した16頭の犬の生存期間は7カ月で無治療の犬15頭の3週間と比較して有意に生存期間が長かった。
この効果は転移していない犬において著明であり1年以上であった。(Sorenmo KU Vet Comp Oncol 2004)

外科 6頭 5頭は30日以内に1頭は生存期間60日以内という報告がある。

去勢とホルモン療法
臨床症状の改善がないまま生存期間30日以内という報告がある。

放射線
緩和が見られるが効率に転移する(85-100%)
オルソボルテージ術中放射線療法10頭。前立腺と腰下リンパ節に照射。5頭完全寛解
10頭の生存期間中央値は114日(41~750日)
その他の報告では生存中央値7カ月

投稿者 ひがしやま動物病院 | 記事URL

2012年5月 5日 土曜日

髄内ピンとキャスト包帯を使用した橈尺骨骨折整復後の骨形成の変化

トピック 2009 中部小動物臨床研究会 年次大会で口頭発表したテーマです。

髄内ピンとキャスト包帯を使用した橈尺骨骨折整復後の骨形成の変化

獣医医療における骨折治療の流れは人医療の発展によって、より強固な内固定法が施されてきたが、近年では骨折の整復に必要とされる外科操作と、骨折部位に本来備わっている治癒力との釣り合いを重視した治療法を提唱する考え方が増えている。そこで我々は橈尺骨骨折の再発症例に対して、髄内ピン、キャスト包帯、海面骨移植で骨折を治療した。結果として、手術後8週間目には骨折部の骨癒合が達成された。その後、患肢への荷重を増やすためにキャスト先端を短くして接地させ、髄内ピンを除去すると骨形成が促進されることが確認された。今後、髄内ピンとギブス除去する最適な時期を検討し、透視装置を使用した髄内ピンによる経皮的な橈尺骨骨折の整復法を採用すれば、より早期の回復と良好な化骨形成が期待できる。

はじめに
小型犬の橈尺骨は大型犬と比較して、周囲軟部組織や血液供給が乏しい。また、骨折の接触面積が小さいため、癒合遅延や癒合不全を起こしやすい。従来の治療法としてキャスト包帯などの外固定は、治療法が簡便で、治療後の骨形成が起こりやすいが、橈尺骨骨折では骨折片が外側の屈筋群が持続的に緊張することから、そのほとんどが外反変形を生じる1。髄内ピンは骨プレートと比較すると特殊な手術器具がいらず、手術操作も容易であるが、剪断負荷または回転負荷に対する抵抗力が乏しく、骨癒合不全などの合併症をおこす場合がある2。骨プレートは十分な固定力と手術後の早期回復が利点であるが、プレートの下の皮質骨に廃用性骨減少症をおこすことがある3。獣医医療における骨折治療の流れは人医療の発展によって、より強固な内固定法が施されてきたが、近年では骨折の整復に必要とされる外科操作と、骨折部位に本来備わっている治癒力との釣り合いを重視した治療法を提唱する考え方が増えている。
本研究では、橈尺骨骨折の再発症例に対して、髄内ピンとキャスト包帯で骨折を整復した。また、骨折接合部には海面骨移植を行った。結果として、手術後のX線検査では、手術前と比較すると患肢の骨密度(X線不透過性)と骨の直径(X線AP像での骨の幅)は減少したが、骨折部の骨癒合は達成された。その後、患肢への荷重を増やすためにキャスト先端を短くして接地させ、髄内ピンを除去すると骨形成が促進されることが確認された。
本研究の目的は、手術後の橈骨と尺骨の骨密度と骨の直径を経時的に観察することで、髄内ピンとキャスト包帯を除去する適正時期を検討するためのものである。

症例および治療方法
症例はパピヨン、7か月齢、♂、体重2.2kg。6か月齢の時、高い所から飛び降り、橈尺骨骨折を起こした。その後、順調に骨癒合した。4ヶ月後、症例は再び30cm程の高さから飛び降り同じ部位を再骨折した。X線検査の結果より、髄内ピンと海綿骨移植による骨折整復と手術後のキャスト包帯を使用する計画を立てた。術前投与として、セファゾリン、硫酸アトロピン、ブプレノルフィン、麻酔導入はプロポフォール、維持はイソフルランを使用した。術中所見として、骨折部は長軸径4.8mmと非常に細くなっており、骨密度が十分でなく骨は脆弱であった。手術は予定通り行い、術後投与としてセファゾリン、ブプレノルフィンを使用した。術後管理として、2週間おきにキャスト包帯の交換とX線検査を行った。X線検査により、骨折部の骨癒合を獣医師が主観的に判断し、キャスト包帯の先端部を適宜に短くし、手術後12週間目で髄内ピンを除去した。

評価方法
手術後の骨形成の変化を検討するために骨密度と骨の直径を計測し、反対側の橈尺骨と比較した。

結果
手術後2~8週間目では、X線検査で患肢の骨密度と骨の直径の減少が観察されたが、8週間目で骨癒合を確認したので、キャスト包帯を手根関節まで短くすると12週間目では骨密度と骨の直径は増加した。この時点で髄内ピンを除去すると16週間目には骨密度と骨の直径は増加した。

考察
本研究の結果として、超小型犬の橈尺骨骨折の再骨折症例を髄内ピンとキャスト包帯を使用して治療することで良好な骨癒合が得られた。
超小型犬の橈尺骨骨折の再骨折は骨折部が細く、化骨形成が十分でないため、骨折部の強度は減少している場合が多い。今回の症例も骨折部が4.8mmと非常に細くなっており、プレートや創外固定では不安定性が生じると判断し、髄内ピンを使用した。本法は、手技が比較的容易で正確な固定ができる手術方法であり、今回の症例も十分な整復が達成できた。しかしながら、骨折部に生じる剪断負荷または回転負荷に対する抵抗力が弱いため、補助としてキャスト包帯で固定した。これにより剪断負荷や回転負荷を減少することができた。
キャスト包帯は永岡らが報告している方法で装着した。このキャスト包帯はグラスファイバーにポリウレタンレジンを含んでおり、水で硬化し、短時間に患肢にフィットするので、骨折部を強固に保護することが可能で、剪断負荷または回転負荷を減少することができる。また、患肢の先端から肩まで巻くことで、キャスト遠位が接地し、キャスト近位に荷重がかかるので、骨折部への荷重が分散できる。キャスト包帯の手技による副手根骨先端や肘突起に起こりやすい重度の圧迫擦過傷は、それらの部位を開窓することで減少させることができる。また、開窓によりキャスト包帯内の乾燥状態が保たれる。非常に軽く、形を自由に作ることができるので患肢を自然な角度に維持することが可能で、キャスト包帯を装着していても自然な接地姿勢がとれる。これらは患肢の早期機能回復に効果がある。髄内ピンによる骨整復の際、骨のアライメントが多少ずれていても、手術後キャスト包帯を湾曲させることでアライメントを修正することができる。しかしながら、装着方法が適切でないと患部の循環障害を起こす可能性があるので注意が必要である4。
今回行った海綿骨移植の有用性は数多く報告されおり、骨髄幹細胞、骨芽細胞やサイトカインを容易に移植できる5。また、海面骨移植が骨癒合を早めれば早期に装置を除去することができ、患肢に荷重が加わることで骨再生をさらに促進することが示唆される。
手術後、経時的にX線検査を評価した結果、患肢に荷重がかかるようにキャスト包帯を短くし、髄内ピンを除去すると骨密度と骨の直径は増加した。wolffは力学的ストレスに対する反応として、必要部分に骨が沈着することを証明している6。今回の結果は、髄内ピンやキャスト包帯などの装置の除去が、骨折部の化骨形成を促進することを示唆する。一方、SchenkとWilleneggerは強固な固定は外仮骨の形成を刺激する生物学的兆候を明らかに除外することを証明した。この報告はプレート固定や今回使用した髄内ピンとキャスト包帯が骨の自然治癒力を抑制していることを示唆するので、骨癒合により骨の強度が十分であれば、早期に固定を除去することで化骨形成が促進されることが予想される。今後の課題として、症例を増し、髄内ピンとキャスト包帯を使用した橈尺骨骨折整復後の骨形成の変化を解析することで、髄内ピンとキャスト包帯を除去する最適な時期を検討する予定である。また、以前我々は、透視装置を使用した髄内ピンによる経皮的な橈尺骨遠位骨幹端骨折の整復法を報告している。この方法を採用すれば、骨折部の周囲血管や軟部組織を温存することができ、本来動物が備えている創傷治癒機転を妨げることがないので、より早期の回復と良好な化骨形成が期待できる。

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2012年5月 3日 木曜日

腹腔内腫瘤の細胞診で独立円形細胞腫瘍と診断された犬の1例

腹腔内腫瘤の細胞診で独立円形細胞腫瘍と診断された犬の1例
水野 景介 ひがしやま動物病院

【はじめに】
 腹腔内腫瘤の細胞診にて独立円形細胞腫瘍と診断され、リンパ腫と卵巣腫瘍の鑑別が必要となった症例に遭遇したのでその概要を報告する。

【症例】
症例はパピオン、12歳、未避妊雌、4.6kg。2週間前より下痢と軟便を繰り返す、便が細くなるという主訴で来院した。
【検査】
身体検査では、触診にて腹腔内腫瘤を触知した。臨床検査において腹部X線検査で左側腎臓の尾側に腫瘤を認めた。超音波検査では直径45mmの嚢胞状腫瘤を認め、また、注腸造影検査では腸管への浸潤は認められなかった。血液生化学検査では異常は認められなかった。追加検査として針吸引による細胞診をエコーガイド下で行った。岐阜大学病理学教室に診断を依頼した結果、独立円形細胞腫瘍と診断された。細胞の形態上はリンパ腫を第一に疑うが、細胞質が豊富で淡明であり、卵巣腫瘍の可能性もあると診断された。
【治療】
細胞診の結果より試験開腹を行い、リンパ腫を疑う場合はツルーカット生検または外科切除を行い、卵巣腫瘍を疑う場合は卵巣子宮全摘出を行うという方針を立てた。試験開腹の結果、手術所見は左側卵巣が腫大した卵巣腫瘍であった。右側の子宮体の一部も腫大していた。腹腔内に明らかな転移病巣は認められなかった。摘出された組織は病理診断を行った。結果として左側卵巣は未分化胚細胞腫、右側の子宮は嚢胞性子宮内膜過形成と診断された。また、腫瘍細胞の増殖は卵巣内に留まっていると診断された。補助療法として、飼い主に無処置かシスプラチンまたはブレオマイシンなどの化学療法を提案した結果、飼い主は無処置を選択した。術後2カ月の検診では再発・転移は認められず、現在で術後6カ月目を経過している。
【考察】
初診時において症状が慢性の下痢であり、細胞診を行ったところ、異型性の強い、円形細胞を検出ため、消化管型リンパ腫を疑った。しかしながら、岐阜大学病理学教室へ細胞診を依頼したところ独立円形細胞腫瘍と診断され、リンパ腫と卵巣腫瘍の鑑別が必要とされた。卵巣腫瘍は細胞質が淡明で比較的特徴的な細胞形態を示すが、一部のリンパ腫と卵巣腫瘍は細胞形態が酷似することがあるので鑑別が必要である。
鑑別の補助診断として、血清エストロゲン、プロゲステロン濃度の測定、犬リンパ系腫瘍クローン性解析などがある。また、避妊手術をしたとされる犬でも卵巣の取り残しから腫瘍が発生することがあるので鑑別には注意が必要である。
 未分化胚細胞腫とは胚細胞(生殖細胞)由来の悪性腫瘍で発生は稀であり、犬の卵巣腫瘍334症例中25頭(7.5%)が未分化胚細胞腫であったという報告がある。未分化胚細胞腫がエストロゲンなどの分泌を起こす機能性腫瘍の場合、異常な発情出血、乳腺過形成、子宮蓄膿症、骨髄形成不全、内分泌性脱毛などの症状が見られる。本症例において、それらの症状は見られなかった。Greenleeらは転移が31頭中5頭で発生し、腹腔内に転移する傾向があると報告している。治療は外科切除が第一選択である。補助的な化学療法の報告はほとんどないが、シスプラシンやブレオマイシンが有効である可能性がある。予後は未分化胚細胞腫3頭の外科単独治療の報告で 13カ月、2年、4年であった。
ヒトにおける未分化胚細胞腫は10~20代の若い女性に発生する傾向が高い。転移の進行度をⅠ~Ⅳまで分類し、Ⅰ期は卵巣から癌が広がっていない状態としている。Ⅰ期の治療として付属器切除術(卵巣腫瘍を含め片側の卵巣と卵管の切除)と大網切除が行われている。転移がないことが確認された場合、化学療法や放射線治療を行わないのが原則である。また、ヒトでは診断における針生検は原則行っていない。動物の場合でも化学療法を選択する判断基準としてこの方法の応用が期待できる。また、卵巣腫瘍の可能性がある場合、針生検の実施は検討の余地がある。補助療法として、抗がん剤の反応が高いとされており、ブレオマイシン、エトポシド、シスプラチンの3剤プロトコールが主流である。生存率は高く、1980年以降抗がん剤を導入することでほとんどの患者が治癒している。
ヒトにおける未分化胚細胞腫の挙動を考慮すると動物の場合でも早期治療できれば根治可能な腫瘍であるかもしれない。

投稿者 ひがしやま動物病院 | 記事URL

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2018/11/02

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12/31(月)、1/1(火)、1/2(水)、1/3(木)は休診とさせていただきます。
よろしくお願い致します。

2018/11/21

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水野景介先生の診察は休診とさせていただきます。
よろしくお願い致します。

2017/03/04

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とさせていただきます。よろしくお願いいたします

※こちらは診察時間ではございませんのでご注意ください。

2013/07/10


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052-782-2472


2012/06/24


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