動物の病気 最新情報

2013年7月30日 火曜日

酔い止め 名古屋, 千種区,ひがしやま動物病院

Safety, pharmacokinetics and use of the novel NK-1 receptor antagonist maropitant (CereniaTM)for the prevention of emesis and motion sickness in cats
                                                
J. Vet. Pharmacol.Therap. 2008 ;31 220-229 

~猫における嘔吐と乗り物酔い予防のための新規NK-1受容体拮抗薬
酒石酸マロピタント(セレニア)の安全性、薬物動態および効果~ 

セレニアが犬の制吐剤として認可され、数年経ちますが猫で使用した報告が古いですがありましたのでご紹介します。
※ 猫での使用に関しては、各獣医師の判断におまかせしたいと思います。


【参考】新製品「セレニア®」(成分:マロピタント)の作用機序

【目的】 
タキキニンは神経ペプチドの一種であり、哺乳類ではサブスタンスP(SP)、ニューロキニンA、ニューロキニンBが知られている。なかでもSPは、嘔吐に関与する脳幹の孤束核、最後野、迷走神経の背側運動核に高濃度に存在し、NK‐1受容体に高い親和性をもつとされ、その受容体への結合により嘔吐誘発作用のほか様々な生理活性を発揮する。本実験で用いた選択的NK‐1受容体拮抗薬マロピタントは、中枢性、末梢性に作用し嘔吐抑制効果を発揮するイヌ用の動物医薬品として認可された制吐薬である。マロピタントは、イヌの動揺病治療薬としての報告はあるがネコに対しての報告は現在までにない。そこで本研究では、ネコにおけるマロピタントの安全性、薬物動態および嘔吐抑制効果の有効性と乗り物酔いに対する反応性を比較検討する。

【実施試験】
マロピタントの安全性、キシラジン投与試験、乗り物酔い試験

【結果】
マロピタントの安全性
 ・バイタルサイン、血液、尿、糞便検査に異常なし。
 ・剖検にて注射部位の肉眼的な点状病巣、皮下組織の線維増殖が確認された    が、他の異常所見はなく試験終了時まで死亡例はいなかった。
 ・半減期:13~17時間
 ・定常状態時の最低血漿中濃度:反復投与7日目に定常状態に到達、最低血中   濃度は薬用量に比例して上昇した。

キシラジン投与試験
 ・嘔吐抑制作用に有意差あり、嘔吐回数と悪心スコアの減少が確認された。 
              
乗り物酔い試験
 マロピタント投与群のほうが悪心傾向にあったが、悪心、レッチングを含めた全体的な事象および悪心スコアは有意な減少を示した。

【考察】                                                                                     
 ■ マロピタント投与にともなう副作用の発現はなく、ネコにおいても
  安全で有効な制吐剤である。
 ■ 薬用量0.5~1mg/kg で経口、皮下投与、静脈内投与の
  どの経路においても1日1回投与
 ■  半減期13~17時間)で嘔吐抑制効果が期待できる。
 ■  今回の薬用量は実験環境下で得られたものであり、実症例に
  対して同様な効果が得られるかは不明なため       
    今後さらなる追加実験の必要性が考えられた。


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2013年2月18日 月曜日

MDR1(多剤耐性遺伝子) ひがしやま動物病院 名古屋 千種区

MDR1(Multiple drug resistance 1: 多剤耐性遺伝子)はコリーのイベルメクチン中毒で知られている遺伝子で、P糖タンパク(P-gp)をコードする遺伝子である。MDR1遺伝子の変異によりP-gpの合成が少なくなり、薬剤の耐性が減少する。ちなみにP-gpのPはpermeability(透過性)からついたといわれている。

3435番目の塩基がCからTに置換する多型において、T/Tを有する人はC/Cの人よりP-gpの合成が減少する。P-gpはアデノシン三リン酸(ATP)のエネルギー依存的に疎水性化合物の細胞外排出を行う輸送体タンパク質である。腫瘍細胞は薬物処理によりP-gpの合成が亢進し、多剤耐性となる。また、悪性腫瘍細胞でなくともP-gpを合成している細胞もあり、薬物の排出に寄与している。


つまり、1. 遺伝子の変異が起こりP−gpの合成が減少すれば、薬剤は細胞内から排泄が抑制される。2. 薬剤の影響でP-gpの合成が増加すれば薬剤は細胞内から排泄が促進される。

臨床で重要な点は1.では、MDR1遺伝子の変異がある動物に対してイベルメクチンを使用することで薬剤が細胞内に蓄積し副作用が出やすくなること。
2.では、抗がん剤を使用する前にステロイドを使用したり、抗がん剤を長期に使用することで抗がん剤が細胞内から排泄されてしまうこと(薬剤耐性ができてしまうこと)である。

また、厄介なことはMDR1が様々な薬剤を細胞外へ排泄していることである。

各種抗ガン剤
コルヒチンやタクロリムスなどの薬剤
脂質
ペプチド
ステロイド
ビリルビン
強心配糖体(ジゴキシン)
抗不整脈薬(キニジン、ベラパミル)
免疫抑制剤(シクロスポリン)
抗HIV薬

コリー、オーストラリアン・シェパード、シェルティーはMDR1の変異が比較的多いので、薬剤を投与するときには十分副作用を注意すべきである。臨床現場であまり使われなくなったがジゴキシンは安全域が狭いので慎重に使用すべきである。
また、何種類もの薬を服用している場合は薬剤耐性を考慮するべきある。

P-gpの阻害剤としてケトコナゾール、ゾスキダルなどがある。
ケトコナゾールはアレルギー性皮膚炎の治療で投与されるシクロスポリンの作用を高める目的で使用された報告がある。ゾスキダルは人の抗がん剤の薬剤耐性を抑えるために研究されている。

今回トピックにしたMDR1遺伝子は非常に興味深い特性を多く持ち合わせている。
詳細はこちら

http://lifesciencedb.jp/dbsearch/Literature/get_pne_cgpdf.php?year=1997&number=4208&file=ltHeNrHs1TMm3gH2/elVEg==

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2013年1月29日 火曜日

新しい骨折治療の固定法 名古屋 千種区 ひがしやま動物病院

Fracture Repair Using a Polyaxial Locking Plate System (PAX)
                                                                  Matthew D, Vet surg 2012

骨折治療へのPolyaxial Locking Plate System(PAX)の評価

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1532-950X.2012.01063.x/pdf

犬と猫の骨折整復に新しい固定プレートを用いたその後の治療結果についての報告です。
2009年12月から2011年3月まででPAXで治療された60匹の犬と2匹の猫のその後の結果を追ったものです。
平均年齢は27.6ヶ月(1.6~120ヶ月)、平均体重は13.3kg(0.5~79.4kg)、骨折の種類としては橈尺骨、骨盤、大腿骨、脛骨、上腕骨、踵骨、腸骨、寛骨が含まれていました。
評価の項目として体重、骨折した場所、骨折の部位、同時に治療した怪我、プレートサイズ、プレートの数、骨移植の有無、MIPO(Minimally invasive plate osteosynthesis)を用いたならその記録、骨片数、プレートの長さ、プレートのネジ穴の数、骨折線近くのネジ穴の数、骨折線上のネジ穴の数など詳細に記録され、複合的に判断されたものです。
骨折の癒合までに平均で7.1週間かかり、合併症が生じたのは12匹(19%)、プレートが原因での支障は3匹(5%)であり、ほかのプレート固定と比べて遜色がないことが判明しました。
結論として、多種多様な骨折線および縦骨折治療の選択肢としてPAXは有益であることがわかりました。
PAXはネジの挿入角度が任意で変えられますが、強度としてはLCPに劣ります。DCPのような効果もありません。

この新しいプレートはpolyaxial(多関節性?)でベンディングしやすい素材です。骨の湾曲がある部分にはLCPより適しています。また、スクリューがプレートにロッキングする際にセルフタッピングされるのでスクリューの挿入角度を調整できることが特徴です。

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2013年1月23日 水曜日

犬の前十字靭帯断裂の治療 名古屋 千種区 ひがしやま動物病院

Long-Term Functional Outcome of Tibial Plateau Leveling Osteotomy Versus Extracapsular Repair in a Heterogeneous Population of Dogs
                                                                                           Samantha A, Vet surg 2012
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1532-950X.2012.01052.x/full

犬の前十字靭帯断裂の治療において、TPLOとExtracapsular Repair(Lateral suture)の術後の回復をフォースプレートで力学的比較検討した報告です。
TPLOのほうが予後がよいという結果ですが、興味深いポイントはContact Time(接地時間)は両グループ間に有意差なしという結果です。しかも両グループの犬の体重中央値はTPLO Group36.7 ± 12kg ECR Group 32.8 ± 7.2kgであり、要検討ですが大型犬でもLateral sutureの一定の治療効果を示唆しています。


中型犬(10kg前後)でのTPLOとECRの比較が日本の臨床としては重要だと思います。

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2013年1月21日 月曜日

犬の人工尿道括約筋を使用した手術 名古屋 千種区 ひがしやま動物病院

犬の人口尿道括約筋置換手術後の評価

Outcome after Placement of an Artificial Urethral Sphincter in 27 Dogs

                                 
                                                                        Lauren Reeves BS, Vet Surg 2013

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1532-950X.2012.01043.x/full

 どの動物にも例外なく、泌尿器の病気は存在します。
その中でも気になるものとして尿失禁が挙げられるのではないでしょうか?
尿失禁の原因は先天性のもの(尿道括約筋機能不全など)、後天性のもの(骨盤骨折などによる尿道障害など)があります。
その治療として外科的に尿道括約筋を人口のものに置換する方法がありますが、これを犬で行った場合の予後の評価が27匹の犬に対して発表されました。
尿道にカフを設置し、尿道を圧迫する方法手術を行った24匹の雌犬と3匹の雄犬の後ろ向き研究の結果です。
手術が行われた犬たちの尿失禁の原因は先天的尿道括約筋機能不全、異所性尿道整復が含まれていました。
結果として、飼い主が大変満足いくコントロールができているのが22人、満足いくが2人、満足できないが3人でした。
先天的及び後天的尿失禁について人口尿道括約筋設置術は有効であることが示唆されましたが、時間経過とともに部分的尿路閉塞が生じることが有り、これが設置からどのくらいの時間経過で起こりやすいのかは詳しく調べられていないようです。そういった兆候を見逃さないためにも今後の調査が期待されます。また、臨床で問題となる失禁として前立腺癌摘出後の失禁があります。これらの疾患に使用された事例の結果が報告されることを期待します。

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2018/07/25

【お盆休みのお知らせ】
8/13(月)、8/14(火)、8/15(水)は休診とさせていただきます
尚8/16(木)は通常通りの時間で診察を行います。
よろしくお願い致します

2017/03/04

お電話での対応
平日:8:30~12:00 / 16:00~19:30
土日:8:30~12:00 / 13:30~17:30
とさせていただきます。よろしくお願いいたします

※こちらは診察時間ではございませんのでご注意ください。

2013/07/10


お電話でのお問い合わせは
     こちらから可能です。


052-782-2472


2012/06/24


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